Book LOG | 林道義の「父性の復権」

 

林道義の「父性の復権

 

林道義の「父性の復権」を読みました。

 

引っ越していったご近所さんから。

若干、内容が古い感じもしますが、父性のあり方を問う一冊。

 

以下、僕の中で「引っかかり」のあったコトバのメモを読んで興味がわいた人は、手に取って読んでくださいね。

 

 

父が父でない

父が父でなくなっている。父が父の役割を果たしていない。家族を統合し、理念を掲げ、文化を伝え、社会のルールを教えるという父の役割が消えかけている。その結果、家族はバラバラになっている「ホテル家族」となり、善悪の感覚のない人間が成長し、全体的視点のない利己的な人間や無気力な人間が増えている。

 
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どのような行動を父性行動と呼ぶべきか

ゴリラの父性行動が人間の父性行動ににていると述べたが、ここでどのような行動を父性行動と呼ぶべきかを考ええてみたいと思う。

 
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価値観の中心

家族の中心とは価値観の中心ということであり、価値のシンボル的な存在のことである。

家族の目的は、立派に子どもを育てることである。子どもを立派に育てるためには、大黒柱としての中心が必要である。

 
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もちろん現実には、そうした中心としての役割を果たすために必要な条件を持っていない男性が多いことも事実である。とくに日本社会は男性の人格形成に対して甘いため、大人になっていない男性が多いので、父親としての重みも貫禄も実力もない男性が多い。また文明社会においては男性の体が弱体化していることも事実である。そのために父親が中心だなんてとんでもない。

 
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父性が秩序感覚を与える

父親が秩序を強く指向するする人だと、子どもも秩序を重んずる人間に育つ傾向がある。反対に父親が秩序を否定して生きている人間だと、子どもはどの秩序がいいか悪いかという以前に、秩序そのものを否定したり、ときにはどんな秩序も形成することができない人格に育ってしまう。またいかなる秩序を指向するかによっても、親の影響が、とくに父親の影響が大きい。父親の人格しだいで、子どもの秩序元型がどのように具体的化されるかが決まってくる。父親が何に価値を置いているか、何を重んじているかによって、子どもの秩序感覚が異なってくるのである。

 
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秩序感覚を教える場合に大切なことは、家庭の中に親によってすでに健全な秩序が存在していることである。つまり親が家庭の中で健全な秩序やルールをつくりだしていて、それを自然に守っているという雰囲気があって初めて、子どももその秩序の中で自然にそうした感覚を学びとっていくのである。

 
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無気力で何もしないというのなら、社会に対して害を与えないが、エネルギーはあるがモラル感覚が欠けているというのが、父性欠如で育った者のいちばん困るタイプである。これは父性欠如の中でも、秩序化と構成力がなく、論理化と社会化が欠けているタイプを示している。

 
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神話的な父イメージ

そうしてイメージは決して荒唐無稽で架空のものだとは言い切れない。幼児から見ると、現実の父親はたしかにそのように見えるということも事実である。我々は幼いころに過ごした地を訪れたときに、「こんなに近い距離だったのか」とか、「こんなに狭い所だったのか」という経験をする。幼い子どもにとっては、大人の眼から見たものとは比べものにならないくらいに、物事が巨大に見えているものである。とくに父親の力や能力は神秘的なほどに大きなものとして映っているのである。幼児はとくに元型的な父イメージを父親に投影しやすいということができる。

 
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父性なき団塊世代 ー 親子の対等を理想に

勉強だけは上下の関係であることを認めているのに、社会的なモラルを教えることや、しつけをする場合には上下関係を認めないものが多いのも、この世代の特徴である。なぜ認めないのかというと、「しつけ」には権威や価値観がからんでくるからである。この世代は「権威」を否定する感情を非常に強くもっているのである。人格的には子どもと対等という理想が非常に強い。しかし人格的に対等という前提に立てば、しつけはできなくなる。しつけをするためには、ある意味では価値観を押し付けなければならないからである。ところがこの世代は「自主性を重んじなければならない、押しつけはいけない」という価値観を持っているので、しつけということができないのである。

 
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戦中派の精神構造の今回にあるのは、「あらゆる価値を信じることができない」という心理である。

 
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父親が子どもに感動を与えることができれば最高である。そのためには父は子どもと共に遊び、それが通じて共に体験する機会を増やすのが望ましい。

 

 

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*企画は身体性。良質な企画は世の中を変える。
*良きインプットが良きアウトプットを作る。

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