Book LOG | 宮部みゆきの「地下鉄の雨」

 

宮部みゆきの「地下鉄の雨」

 


宮部みゆきの「地下鉄の雨」
を読みました。

 

久しぶりの宮部みゆき作品。

初期の頃の作品ということもあるのか、文体、表現が実験的で面白い

 

以下、僕の中で「引っかかり」のあったコトバのメモを読んで興味がわいた人は、手に取って読んでくださいね。

 

 

「死神です」
男は悦郎を見ようとしなかった。
「そう言っては酷かもしれないが、やはりそうとしか言いようがない。我々は、夫婦となる相手と赤い糸で結ばれているのと同じように、死に際に立ち合ってくれる相手とも結ばれているのです。多分、黒い糸でね」

 
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口約束だといい加減になってしまうから、文書にするんだっていうんです。家庭のなかでね。夫婦なのに。義姉さんは、兄の帰りが遅くなって、先に寝るときにも、なにか用があると、箇条書きに書き出しておきてがみをしておくんですって。「箇条書き」というところが凄いと思いません?わたし、その話を聞いたときには、兄が可哀想になりました。

 
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「だけどオレは、おまえと話したいんだ。だからおまえには相手になる義務がある。切ったって、何度もかけてやるからな」
「だけど、あたしはイヤなの。だから、あんたと話をしたいって人を紹介してあげる。だから、切らないでね」

 
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喪服を着ると、女性は誰でも三割ほど美人度があがる。試着室の大きな鏡に全身像を映しながら、浩美はむしろ、少しばかりワクワクしていた。勝子伯母の死は、浩美に、大人になって初めて喪服を着る機会を与えてくれた、貴重な出来事であるようにさえ思えた。

 
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中年で中肉中背。神様が泥をこねて人間をつくる作業に飽きてきたころ、片手でくちゃくちゃっと丸めてこさえたに違いない、という顔立ちだ。

 
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こいつは何ひとつ悪いことをしたわけじゃない。ただ、神や仏が休憩中に、悪いときに悪い場所で悪い相手に出くわしてしまったというだけなのに、それで人生が砕けてしまった。

 
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心臓がどきどきしてきた。それは感じることができた。膝から腿にかけて、なにか柔らかいものでささあっと撫でられたような感じがして、力が抜けてきた。

 
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わたしたちは、誰かの顔に答えが書いてあるのではないかと期待をかけて、それぞれの顔を見回した。でも、どの顔も白紙だった。

 

 

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*企画は身体性。良質な企画は世の中を変える。
*良きインプットが良きアウトプットを作る。

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