Book LOG | 東野圭吾の「手紙」

 

東野圭吾の「手紙」

 

東野圭吾の「手紙」を読みました。

 

よくもまあ、これだけの人間の心境の変化を描けるものだと、ただただ関心してしまいます。

 

映画にもなっていたのですね。
知りませんでした。

映画での設定は、ミュージシャンではなくお笑い。(なるほど。納得)

 

 

以下、僕の中で「引っかかり」のあったコトバのメモを読んで興味がわいた人は、手に取って読んでくださいね。

 

 

ドライバーをベルトに戻し、剛志は立ち上がった。おそるおそる足を運んでみる。どちらかの足に重心を移すたびに、腰から背中にかけて電気が走った。それでも止まるわけにはいかない。這うときほど変わらない速度でようやく玄関に達すると、靴下のまま外に出た。日はまだ高く、青空が広がっている。金木犀の香りがした。

 
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それから何分も経たない頃、剛志は公園の端から近づいてくる人影に気づいた。二組で、どちらも警官の格好をしていた。
剛志はジャンパーのポケットに触れた。札束の袋は入っていたが、天津甘栗の袋はなくなっていた。どこに落としたんだろうと彼は思った。

 
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剛志の身体がぴくりと動いた。呼びかけに、というより、聞き慣れた声を聞いて条件反射的に身体が反応したようだった。彼はわずかに顔を上げ、弟に目を向けた。だが目が合うと、また視線を床に落とした。

 
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「嘘じゃないぜ」放心したような由美子の顔を見つめて彼は続けた。「殺人罪で捕まったんだ。強盗殺人だ。ばあさんを殺したんだよ」
いい放つと、痛い奥歯をわざと押すような快感があった。しかし同時に自己嫌悪にも包まれた。俺はこの子にこんなことを告げて、一体どうしろうというのだろう。

 
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武島剛志などという人物は存在しない、自分は昔から一人きりだった、そう思い込もうとしていた。

 
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その彼女が他の男に話しかけられた時、直貫は何気なく例の黒髪の彼女を見た。すると向こうも彼のことを見ていたのだった。すぐに彼女は目をそらしたが、宙で一瞬視線がぶつかったのは事実だった。

 
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一晩眠れば彼女に関する記憶も薄れているはずだ。そのことを願いながら、彼は眠りに入れるよう努めた。

 
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「正々堂々、というのが君たち夫婦のキーワードのようだから敢えていわせてもらうよ。その、いついかなる時も正々堂々としているというのは、君たちにとって本当に苦渋の選択だろうか。私にはそうは思えないな。わかりやすく、非常に選びやすい道を進んでいるとしか思えないが」

 
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「君の決断について、もしかしたら人は非難するかもしれませんね。世間体を気にして家族の縁を切るとは何事か、刑務を終えた人間が社会復帰する時に頼れるのは家族だけだ、その家族が受刑者を見捨ててもいいのか、と」

 
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「何だい、新しいことって」
「慰問コンサートだ」

 

 

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*企画は身体性。良質な企画は世の中を変える。
*良きインプットが良きアウトプットを作る。

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