田坂広志の「仕事の思想」

田坂広志の「仕事の思想」を再読しました。

古い本で、昔読んだときは、ベテランビジネスマンが、新人サラリーマンに向けて説教するモードに入ったり、冷静になったりという行為を繰り返しながら書かれた本、という印象を途中で受け手しまい(すいません)、その結果、読み進めるのが億劫になってしまいました。しかし、いまは、なんとなくベテランサラリーマンに説教されたい気分(失礼)、ということで再読しましたら、気になるコトバを多々手に入れることができました。

メモを読んで興味がわいた人は、手に取って読んでくださいね。

以下、僕の中で「引っかかり」のあったコトバです。

仕事の報酬とはなにか

「仕事の報酬とはなにか」を考えていくとき、誰にとっても最初に見えてくるのは、「仕事の報酬は給料である」とういう世界です。しかし、もし私たちが仕事に真剣に取り組んでいくならば、こうした世界では物足りなさを感じるようになっていきます。

そして、そのとき、次の世界が見えてくるのです。

それが、おそらく、「仕事の報酬は、能力である」とういう世界です。そして、それは、仕事をおぼえることが面白くなってきたときに見えてくる世界なのです。

そもそも、「できなかったことが、できるようになる」という体験は、人間にとって本源的な面白さであり、楽しさなのでしょう。だから、それがだんだんと面白くなってくるのです。

さて、こうした「仕事の報酬は、能力である」という世界において仕事のスキルやノウハウを身につけ、仕事の能力を磨いていくと、その向こうにさらに新しい世界が見えるようになってきます。

それが、「仕事の報酬は、仕事である」という世界です。

仕事のスキルやノウハウを磨いていくと、自分のやってみたい仕事ができるようになっていきます。

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やりがいのある仕事とは

ビジネスマンにとっての企画力の神髄とは、自分にとってはもとより、会社にとっても、顧客にとっても、さらには、社会にとっても有意義な仕事を企画できる能力なのです。

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「働く」とは「傍」を「楽」にさせること

仕事を一生懸命にやっていると、仕事のスキルやノウハウが身につき、仕事の能力が磨かれ、ひとりの職業人として成長していくことは当然ですが、実は、それだけではなく、ひとりの人間として成長していくことができるのです。
そしてその、成長を実感し、その成長の喜びを味わうことができるのです。

では、この「人間としての成長」とは何でしょうか。

それは「こころの世界が見えるようになってくる」ということです。

人間として成長すると、こころの世界が見えるようになってくるのです。たとえば、顧客の気持ちや職場の仲間の気持ちがわかるようになってくるのです。そして、顧客の気持ちや仲間の気持ちがわかるようになると、「うまく働くこと」ができるようになってくるのです。

なぜならば、「働く」とは「傍」を「楽」にさせることだからです。
そばにいる顧客や仲間を楽にさせてあげることだからです。

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企画というものは、顧客に納得してもらって、はじめて「良い企画」と言える。
企画が顧客に受け入れられないとき、それを顧客の能力の席にしてはならない。

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「地獄とは他者のことなり」

実在主義の哲学者、サルトルが次の言葉を残しています。

地獄とは他者のことなり。

この言葉の意味するものは、人間の「エゴ」の問題です。

「他者」すなわち人間どうしの「エゴ」がぶつかりあうことによって、「地獄」、すなわち大きな「苦しみ」が生じることを述べているわけです。このことは、たとえ企業の職場であろうとも、疑いのない真実です。だから、相手の「こころ」と正対するという修練をしないかぎり、私たちは、決して、「人間力」という力量を身につけていくことはできないでしょう。

それがいかにひそやかな形であれ、エレガントな装いをとってであれ、企業の職場には、エゴとエゴのぶつかりあいがあります。
それが人間の世界であかぎり、エゴとエゴの衝突があります。

(中略)

そうした相手の「こころ」に正対するという修行をしていかないかぎり、私たちは、本当の「人間力」と呼ぶものを身につけてくこことはできないのです。

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ショーペンハウエルの「やまあらしのジレンマ」

あるところに、二匹のやまあらしが住んでいました。

冬の朝、とても寒いので、二匹のやまあらしは、互いに暖めあおうとして身を寄せあいました。

しかし、あまりに近く身を寄せあったため、二匹のやまあらしは、自分の体に生えているハリによって、互いを傷つけてしまいました。

その痛みから、二匹のやまあらしは、互いに相手から離れたのですが、今度は、また、寒くてたまらなくなりました。

そこで、ふたたび二匹のやまあらしは、身を寄せあいました。するとまた、互いに相手を傷つけてしまったのです。

こうして二匹のやまああらしは、離れたり、近づいたりすることを繰り返し、ついに、最適の距離を見出したのです。

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他人の人生に責任を持つ者が、最も成長できる。

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夢と共感にあふれた職場の仲間。それもまた、仕事を通じて私たちが創りあげていくべき、「かけがえのない作品」。

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たとえ自分が、その夢を実現できなくとも、
いつか誰かが、その夢を実現する。

私たちは「夢が破れる」ということを、決して恐れる必要はない。

私たちに問われるものは、
「その夢を実現するために、力を尽くして歩んだか」ということなのです。

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