Cocktail Short Stories
強がりのブラディーマリー
深夜2時、突然のマリからのTEL・・・。
いつも強がっているけれど、実はとってもナイーブな親友のマリ。
受話器の向こうで、途切れることなく一方的に話す口調に違和感を覚えた。
とうとう別れちゃったんだ。
そう私は直感した。
マリの会話を遮るように、私は言った。
「あんな男、マリにはふさわしくなかったのよ」
彼の事をマリが大好きだったことを知っているからこそ、ちょっと強めな口調でさとす私。
電話を切った次の瞬間、私はマリの家に向かっていた。
かつて私が失恋した時、マリがそうしてくれたように。
ドアをノック。しばらくすると目を赤くしたマリが出てきた。(やっぱり)
私はマリのさっぱりした台所に立ち、強い女に戻る魔法のカクテルを作る。
ブラディーマリー。
「マリ、涙だらけだから、塩は少なめにしておいてあげたわよ」
そう言って、私はカクテルを差し出した。
マリの口元にほんの少しだけ強がりの笑顔が戻った。
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