山口恵以子の「月下上海」

月下上海

 

第20回松本清張賞受賞作品、山口恵以子の「月下上海」を読みました。

戦時下の上海を舞台に繰り広げられる財閥令嬢・八島多江子の運命を描いた作品。
確かに受賞に値する、スケールの大きさと緻密な感情の描写に心が動いた作品でした。

読んでしばらくの間はとても複雑に感じられたストーリ構成も、実は冷静に考えると、このストーリーは、3人(+おまけ)の異なる男達との異なる愛の形を、財閥令嬢と戦時下の上海という特殊なプロットの上で、極端に振り切って描いた作品なんじゃないかな?と考えるようになりました。

 

・一人目は、出会って一目惚れし、夫として手に入れた瑠偉
 =恋愛、嫉妬、裏切り、仕返し、失望

・二人目は、スパイ容疑のかかった民族資本家・夏方震
 =禁断の恋、安らぎ、共感、自己犠牲

・三人目は、多江子の財閥八島海運を恨む憲兵大尉・槙庸平
 =恐怖、暴力、償い

・+おまけは、逃亡してきた若い兵士
 =母性

 

個人的にはこの解釈が一番腹落ちするのですが、読んでいないひとからするとこの説明だと、何じゃそりゃ?って感じですよね(笑)と言うことで、アマゾンの内容紹介も掲載しておきます。興味あるひとはどうぞー。

 

昭和17年10月、八島財閥令嬢にして当代の人気画家・八島多江子は、戦時統制化の日本を離れ、上海にやってきた。そこで、招聘元である中日文化協会に潜入していた憲兵大尉・槙庸平から、民族資本家・夏方震に接近し、重慶に逃れた蒋介石政権と通じている証拠を探すように強要される。「協力を断れば、8年前の事件の真相をマスコミに公表する」8年前、多江子が夫・瑠偉とその愛人によって殺されかける有名な事件が起きた。愛人は取り調べ中に自殺し、瑠偉は証拠不十分で釈放されたものの、親元の伯爵家から除籍され、満州へ追われた。そして奇跡的に一命を取り留めた多江子は、スキャンダルを武器に人気画家へのし上がった。だが、その真相は、愛人と外地へ駆け落ちしようとした瑠偉を許せなかった多江子が、他殺に見せかけて自殺を図ったのだった。槙は何故か、その秘密を嗅ぎつけていた。不本意ながらも夏方震に近づいた多江子は、その人間的な大きさに惹かれて行く。夏もまた、首と心に大きな傷を持った多江子の強さと孤独に惹かれ、心から愛するようになる。やがて夏の求愛に心を開いた多江子は、槙にきっぱりと任務を断り、夏の胸に飛び込み、共に生きる決心をする。だが、多江子の何気なく漏らしたひと言からヒントを得た槙は、工作員を捕え、夏をスパイ容疑で逮捕してしまう。多江子は槙の利己主義につけ込み、莫大な謝礼と引き替えに、夏を憲兵隊本部から連れ出す取引をする。そして夏を実家の八島海運の貨物船で密航させ、上海から逃がす。だが、成功に油断した多江子は槙に犯されてしまう。槙の真の狙いが八島海運にあると察した多江子は、命懸けの対決を余儀なくされる。そして……。

 

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*企画は身体性。良質な企画は世の中を変える。
*良きインプットが良きアウトプットを作る。

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