宗田理の「ぼくらの七日間戦争」を読みました。
1985年4月に発行された宗田理の文庫書き下ろし小説。
ぼくらシリーズの第1作目だったのですね。知りませんでした。
子どもを持つ親となったいま、改めて子ども視点で読み直すとなかなか面白いですね。親視点だけでみていると、子どもの言い分って忘れがちですからね。
話題になった映画化は1988年のこと。
宮沢りえやTM NETWORKの主題歌『SEVEN DAYS WAR』が懐かしいです。
思わず、映画も見直してしまいました(笑)
以下、僕の中で「引っかかり」のあったコトバのメモを読んで興味がわいた人は、手に取って読んでくださいね。
音楽のボリュームが落ちた。
「みなさんこんばんは。ただいまから解放区放送をお届けします」
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「いいかみんな。これはおれたちの解放区。子どもだけの世界だ。楽しくやろうぜ」
相原が言うと、全員が「おーう」と叫びながら、拳を突き上げた。
英治は、なんだかしらないけれど胸が熱くなった。
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英治が言うと、みんながそれに賛成した。
「じゃ、そうしよう」
「みんな、空を見てみろ。星がきれいだぜ」
立石剛がだしぬけにそう言うと、仰向けにひっくりかえった。つられて英治も、仰向けになって空を仰いだ。英治は、このところ星なんてみたこともない。天の川が見えた。首が痛くなったので、立石と並んで寝た。(中略)
「やがて、おれたちみんながいなくなっても、星はああやって輝いているんだぜ」
立石が言うと、みんなしんとしてしまった。
背中に触れるコンクリートの暖かさが気持ち良かった。
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「おとなって、どうして子どもにうるさく言うのかな?」
「そりゃ、いいおとなにしたいからさ」
「いいおとなって何?」
「えらい人の言うことをよく聞く人間だ」
「それがいいおとな?バッカじゃねえのか」
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「うそだ。おれは、お前たちを立派な人間にしたい。ただそれだけを思ってしごいているんだ。おれには私心はひとかけらもない。このおれの心情が、お前らにはどうしてわからないんだ」
「その、正義の味方ってのが困るんだよな」
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英治は、いっしょに行く安永、佐竹、吉村、立石の顔をこっそり見た。どの顔も明るそうで、みんなとはしゃいでいる。
おれって、特別臆病なのかな。
英治は恥ずかしくなった。
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「OK。なんだか私も、あなたたちの仲間みたいな気持ちになってきたわ」
西脇の表情からおとなっぽさが消えて、目がきらきらと輝きはじめた。
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右にまわったかと思うと左にまわり、めちゃくちゃに早くなったり、おそくなったり、突然、何ものかにとり憑かれたみたいに、子どもたちは、その行為に夢中になった。
真夏の強い日差しが、地面に乱舞する影をくっきりと映し出した。笑い、さんざめく声は広場に満ち、青く高い空に吸い込まれてゆく。
この瞬間、子どもたちはすべてから解放されていた。
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「子どもだから、許せねえんだ。それがおとなさ」
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『そうかあ。そういうことだったの。いいよ、女子全員で待ってるよ。それからどうするの?』
「川へ行って、向こう岸から見物するのさ」
『すてきぃ』
「そのとき、食い物を持ってきてくれるよ。おれたち、ろくなもの食ってねえんだ」
『うん。いっぱいもってきてあげる』
「じゃあ、解放区より愛をこめて。バイバイ」
『バイバイ』
久美子の声がはずんでいた。
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*企画は身体性。良質な企画は世の中を変える。
*良きインプットが良きアウトプットを作る。
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» 中村真の「日本の神さまと上手に暮らす法」
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