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桂望実の「県庁の星」

桂望実の「県庁の星」

 

リンクに表示されるテキストを読みました。

 

子どもの日本人補習校の図書館で手にした一冊。

先日の「ベストセラー小説の書き方」に書かれたテクニックがたくさん活用されているような、大衆をターゲットにした一冊でした。

・ヒーローとヒロイン
・興味深いプロット構築
・ヒーローを徹底的に追いつめるやりかた
・周りが思いつかない方法での大どんでん返し
・そして、終わりはさくっとフィニッシュするハッピーエンディング

読み終わったときのスッキリ感&満足感ありの作品でした。

作り手としては、やはり「(あくまでも)黄金のルールの上で自由演技をする」ことが大切であることを、感じさせてくれます。勉強になりました。

 

そして、読み終わるまで知らなかったのですが、これは映画化されていたのですね。やっぱり、こういうスッキリ感のある大衆作品は映画になりやすいわけだ。なるほど。

 

以下、僕の中で「引っかかり」のあったコトバのメモを読んで興味がわいた人は、手に取って読んでくださいね。

 

 

「組織図?」
「はい」
「なんで?」
「えっ?組織を理解しなければ、どのように業務を推進すればよいのかがわかりません。所属長からの伝達などもー」
「この店に入って十五年になるけど、そんなもの見たことない。もしかしたらないかもよ」
「そんな!」
「そんなものなくたって回ってくるから」うんざりしたように頭を左右に振った。「民間は」

 
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「カードが通らなかったことを、なんで客にそのまんま言っちゃうのよ。画面にでてきたことをそのまんま話すなら、人間いらないじゃない」
眉をしかめた。「よくわからないんですが」
グーで殴りたい。

 
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「サービス業ってさ、模範解答がない仕事でしょ。客が求めるものってそれぞれだし。でね、ラテン民族は世界で一番怠け者だけど、サービスをさせたら最高のできなんだって。昔先輩から教わった。楽しむことや遊ぶことに熱心だからだってさ。どうされたいかがわかっているから、そうすればいいかを知っている。」髪をかきあげた。「俺、それ気に入ったのね。お役所じゃあさぁ、たいへんなわけでしょ。一年休暇を貰ったようなつもりで、ここでのんびりしたらいいよ」

 
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書類をテーブルに置いて番茶を啜った。完璧なのでしょうな。この書類の通りになれば完全無欠の店になるんだろう。でも ー この書類には人間がいない。客も従業員も存在していない。見えてないんだ、なにも。

 
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「気持ちって一つじゃありませんでしょ。表に出てくる感情の下にはね、違う気持ちが潜んでいるんでしょ。たとえば、子どもがしっかりしたことを言えば、大きくなったんだなって思いと同時に、親離れされたようで淋しく感じたりね。泰子さんは生意気なこと言ってという部分をお詠いになるでしょう。そこをね、一つ捲って、その下の気持ちを詠んでご覧になるといいんじゃないかしら」

 
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「慣例、前例って言うでしょ。能力がないからじゃないの?人を見る力がないから書類の数字引っかき回してるんじゃないの?責任とりたくないから、前回と同じことばっかりやりたがるんでしょ。責任取ったらいいじゃない。誰の顔色も窺わずに、自分の思い通りのことをして、きっちり責任取るって格好いいじゃない。今やってることに疑問もちなさい。まずはそこから」

 
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「女はね、デパ地下を二週するのよ」
「それはあの人のことでしょう」
「違う。たいていの女がそう」
「なんでそう決めるんでです?」
「決めてるんじゃない。そういうもんだから」

 
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「デパートでは特別なものを買うから。スーパーでは日常のものを買うの。どうしてって聞かないで。そういうもんだから。女はね、形のないものにお金を払う習性があるんだな。記念日とか店の雰囲気とか、そういうものにね」

 
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「子どもが算数で100点取ったらから、今日はマンゴープリンを注文するって」顔を上げた。「日常と特別な日の間って、こういうことかなって、閃いたんです」

 
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「家で作ってすぐに食べるときの味付けと、持ち帰って食べるもんが同じ味じゃだめだ。濃くするんだよ。気持ちね。その加減が難しいんだけどさ」

 

 

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*企画は身体性。良質な企画は世の中を変える。
*良きインプットが良きアウトプットを作る。

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