Book LOG | 久坂部羊の「無痛」

 

久坂部羊の「無痛」

 

久坂部羊の「無痛」を読みました。

 

フジテレビ系水10ドラマ「無痛〜診える眼〜」として、西島秀俊、伊藤淳史、伊藤英明等の出演でドラマ化された原作本。

ドラマではそこまで感じ取ることのできなかった、医療の矛盾について深く切り込んでいるのが印象的。

 

以下、僕の中で「引っかかり」のあったコトバのメモを読んで興味がわいた人は、手に取って読んでくださいね。

 

 

犯人はなぜそんなことをしたのか。狩猟家がするように、獲物を並べて狩の成果を誇示したかったのか。

 
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「むかしの医者はみんなこうやって診断していたのです。レントゲンがなくても結核はわかったし、胃カメラをしなくても胃がんの診断はついていた。今はすぐ血液検査だ、エコーだ、CTだと検査に頼るでしょう。だから医者の五感がトレーニングされてないんですよ」

 
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「でも、病気は自然現象なのです。だから手強い。一生懸命やれば必ず解決するわけでもない。雨乞いでは、雨は降らないでしょう。じゃあ、わたしはこれで」
菜美子は車から降りる為頼を、呆然と見送っていた。自分の努力を雨乞いといわれながら、反論したくてもできないもどかしさに、その瞳は端いでいるようだった。

 
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白神はシャウカステンの蛍光灯を消し、薄暗がりの中で答えた。
「先天性無痛症です」
「無痛症?」
「そうです。彼は生まれてから、痛みを感じたことがないんです」

 
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イバラは、身のまわりに危ないものがあまりに多いことを知り、おびえた。何が危険で何が安全かを、痛みなしに判断するのはむずかしい。

 
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佐田の脳裏に幼い日の恐怖がよみがえる。自分の叫びに発狂しそうになったあの日…。
佐田は必死でもがいたが、すぐに意識が遠のいた。頭の中で暗黒の渦巻きがオレンジ色に輝き、やがて色を失い、すべてが暗転した。

 
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「これまでに見て来た医者の欺瞞、高慢さ、それに患者の弱さといじましさ。それを舞台に演出される医療幻想。そんなものに虫酸が走るんでね」

 

 

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*企画は身体性。良質な企画は世の中を変える。
*良きインプットが良きアウトプットを作る。

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