室井佑月の「ドラゴンフライ」を読む。
OLから銀座のホステスに転身した女性、リュウの物語。
小説のタイトルの「ドラゴンフライ」の理由は、小説の一番最後に登場するワンシーンで明らかになるるのだけど、ちょっと唐突な印象を受けた。主人公を通じて感情移入するには至らないが、銀座の夜の仕組みを垣間みることができる。「ドラゴンフライ」の「解説」では、この本のことを「夜の銀座版『不思議の国のアリス』である」と表現しているのだけど、その表現は的を得ているなー、と関心。
以下解説から
たとえば、私たちは「ホステス」と一括して呼んでいるけれども、ホステスには「売り掛け」と「ヘルプ」という二つの階級があることが冒頭で説明される。売り掛けのお姐さんは、限りなく個人事業者に近い。それぞれ厳しいノルマを課せられ、売上が伸びれば儲かるが、伸びなければ貧乏。さらに客への売り掛け金の取り立てはお姐さんの責任となる。
それに対して「ヘルプ」は個人的に雇われ、給料が支払われる。お店に直接雇われる者と、お姐さんに雇われる者がいる。
「スペシャルなお客さま」というのは、会社の経費で飲まない人。ほんとうのお金持ち。自腹で優雅にお金を使い、長いこと店に通ってくれる。
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