大槻ケンヂの「新興宗教オモイデ教」

大槻ケンヂの「新興宗教オモイデ教 」を読む。

ただのサブカル小説ぐらいの期待で何となく手にした本だったが、スピード感があり、粗さもなんだか上手く馴染んでサラッと楽しむことができた一冊。

主人公の八尾二郎が、大した過酷な経験を背負っていないにも関わらず、他のメンバーより強力なパワーをいとも簡単に得てしまう流れがなんだかなー、と思ったりもするのだが、脇を固めるキャラクターが強力なインパクトを放つだけに、主人公の八尾二郎がつまらなく映るのかもしれない。逆に言うと、く脇役の世界観の作り方はとても面白い。

プロットは以下の通り。

・同級生のなつみが発狂して学校を辞める。新興宗教に入る。
・後日、主人公の八尾二郎となつみの再開。
 賭けの結果(メグマ祈呪術を見せつけられ)二郎も入団。
・オモイデ教の案内係の中間と出会い、話が急ピッチに進む。
 (中間の過激な過去と、相棒ゾンの思い出がストーリーのヘソを作る)
・事件勃発。別の教団から自殺者多発。この裏ではゾンが操っていた。
 中間とゾンの再開。ゾンの次の狙いは、オモイデ教。
・二郎は中間に教えられメグマ祈呪術を身につける。
 そしてゾンに勝つ。(結構あっさりと)
・二郎は、オモイデ教の教祖(なつみの愛人)からパワーを認められ、守ってほしいと依頼される。
 (小説では常に教祖をちっぽけな存在として描かれる)
・二郎は断る。教祖となつみは殺される。中間は逃亡。

プロットだけ書くと、とても陳腐に見える。でも面白く感じ取れた背景には、プロット構成以上に、人が精神を崩壊していくまたは狂気に満ちていく様を、小説でしか描けない描写で表現しているからかもしれない。

Link: 大槻ケンヂ「新興宗教オモイデ教 」

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