Book LOG | 清水良典の「二週間で小説を書く!」

 

 清水良典の「二週間で小説を書く!

清水良典の「二週間で小説を書く!

 

清水良典の「二週間で小説を書く!」を読みました。

 

小説を書くためのトレーニング方法を、14の実践練習でまとめた一冊。
書くことに苦悩している自分にとって目から鱗の一冊となりました。
感謝!

 

以下、僕の中で「引っかかり」のあったコトバのメモを読んで興味がわいた人は、手に取って読んでくださいね。

 

 

文章はもう一つの身体

文章は書かれた瞬間から、もう一つの身体として生きはじめる。もとの身体が営んでいる生物的な人生とは別に、読まれさえすれば時間も超えて生き続けるのだ。そしてもとの身体を持つ自分にも、目に見えない作用を及ぼす。

 
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読んでいて声が聞こえてくる。しかし聞こえたとおりに書けばいいかというと、そうでもない。実際にやってみるとわかるが、会話をテープ起しみたいに完全に忠実に書き写すと、かえって読みにくくて意味も通りにくいものである。この会話はいわばリアルさを損なわないように、分かりやすい文章に整えられている。いってみれば、書き言葉として落ち着いた話し言葉になっている。
そういう会話文を身につけるためには、ノートで試行錯誤して書いてみる必要がある。

 
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感じる、カンジる

たとえば「彼女は足に怪我をしてしまった」と書くのは、たんなる状況の説明である。「彼女の左膝の白い包帯が薄赤くにじんでいた」と書けば、その姿が目に浮かぶ。

「洞窟の中は真暗だった」と書くだけではなく、手探りで触れた洞窟の壁が冷たくぬるぬるしていた感触を書くと、より臨場感が増す。

目に入るものや聞こえるもの匂うもの、指先や足裏で肌で感じられるもの、つまり「五感」による追体験によって、私たちは虚構であるはずの小説の世界の中に参加できるのである。しかし「五感」はよほど気をつけていないと、文章からこぼれ落ちていく。

会話ばかり続く小説は、いわば耳だけである。読んでいる者は、目隠しされている状態になる。

(中略)

ともするとノートは、ストーリーや人物のキャラクターの設定、あるいは資料的なデータばかりになりがちだが、本当は「五感」を思い出せるような言葉が思いのほか役立つのである。何かをノートに書いたら、必ずそれに付随する「五感」を喚起する言葉をどんどん添えておくようにするといい。

 
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小説を書くのに最も大切な書く力とは、具体的な人物や行動や風景を、目の前にあるかのように再現する力、すなわち<描写>力である。

 
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ストーリーに呼ばれてしまう

意表を突いた、その先をもっと知りたくなるようなプロットでなければならないのである。ストーリーに、読者がつい呼ばれてしまう魅力があるかどうか。少なくともエンターテインメントの場合は、それが運命を左右する。

 
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ゼノンの矢

小説とは、まさにゼノンの矢のように一瞬を無限に引き延ばすことができるものだ。逆をいうと数十年をたった一行で飛び越すこともできるのだが、ストーリーを書き進めることに焦る書き手には、この「ゼノンの矢」式の書き方も必要である。すると本格的ににストーリーを書き込むに百枚、二百枚というヴォリュームが必要となるわけが分かるだろう。

 
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一瞬を書く

その「一瞬」を書くためには、そこに至るまでの流れを書くことが大事である。それをどう書くか。実は肝心の「一瞬」よりも、そこへ誘導する文章のほうが技術が必要なのである。「それはある日の午後に起こった」というように、いかにも劇的な思わせぶりにならないよう、淡々と書くよう心がけてほしい。

 
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世の中のほとんどの人間は、あなたも私も、作家であってもスポーツ選手であっても、大学教授であっても博士であっても、ヒトとしては平凡で退屈である。何を経験していようが、何を悩んでいようが、どんな知識があろうが、あるがままの人間としてはそこそこの出来で、ありふれているものだ。本当のあるがままと、まるで「あるがまま」のような自然さで魅力を発揮することは、まったく別ものである。そのことを徹底的に悟った上でないかぎり、私小説的な一人称には安易に手を出さないほうがいいだろう。

 
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デフォルメ

身体的な特徴を誇張する
性質を誇張する
特技で誇張する
履歴で誇張する

 
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さまざまな性格を書きわけるということは、小説でどのような意味を持つのだろうか。面白い人物がいろいろ登場するのを楽しむという小説もあるだろうが、もう少し人物のコントラストがはっきりしてくると、小説に登場する人物に読者は好感を抱いたり、逆に反感を抱いたりする。いいやつだなと思ったり、嫌なやつと思ったりする。その気持ちをいわば手玉にとって操作することが、ストーリーを組み立てる原動力になるのである。

 
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キャラクターは何よりも、セリフで個性が主張できなければならない。いくら説明で人物の情報が書かれていても、話し方が他の人物と区別のつかないような人物には存在感がない

 
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言葉によって目に浮かび上がらせる、身体に感じさせるという作業は、とても面倒でまだるっこしいように思える。だが逆に、決して絵や写真にできない表現が可能になる。たとえば、現実にはありえないシュールな光景、複雑に乱れた心の内側、いま現在の出来事と重なって浮ぶ遠い記憶、複数の人物がめいめい別のことを考えている瞬間・・・。

いいかえると、言葉でしか描写できない場面や状況をできるだけ取り込むと、小説の質が向上することになる。

 
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完成と未完成のあいだ

「完成」とは幻想である。たとえ時間がたって書き手として成長しても、その時点での理想はまた新たに遠くにある。理想どおり完成する、というようなことはもともと不可能なのだと考えたほうがいい。完成させる、のではなく、終わらせると考える方が実際的である。

 

 

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*企画は身体性。良質な企画は世の中を変える。
*良きインプットが良きアウトプットを作る。

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