斎藤孝の「コメント力」

コメント力

 

斎藤孝の「コメント力」を再読しました。

本書は、そもそも「コメント力」とは何か?の定義からはじまり
様々な切り口から優れた「コメント」のピックアップと、
コレを身につけるための鍛え方をまとめた一冊です。

半分以上は、コメント力のトレーニングと称されたコメントの事例集。
作者が過去に気になってスクラップブックしておいたコトバを再編した本、
という集めた印象をうけましたが、それはそれで価値がありますね。

メモを読んで興味がわいた人は、手に取って読んでくださいね。

以下、僕の中で「引っかかり」のあったコトバです。

 

(当時)カリフォルニア州知事になっている俳優のアーノルド・シュワルツェネッガーが州知事選を戦っていたとき、遊説先で監修から突然、卵をぶつけられた。
テレビカメラも回るその前でとっさに彼はこう言って、悪意の攻撃をかわした。
さて、彼は何といったのだろう。

「奴には(   )の貸しだ」

 

答え:ベーコン
卵を投げられて「何をするんだ!馬鹿野郎!」と言うのと「奴にはベーコンの貸しだ」と言うのでは、聞いている人の印象はずいぶん違ってくる。シュワルツェネッガーの器の大きさを感じさせるコメントだ。
*この場合、なぜベーコンと言ったかというと、生卵をぶつけるなら、ついでにベーコンもよこせ、ベーコンエッグを作るには、ベーコンが足りないじゃないか、というジョークなのだろう。

 
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ある企業で経営者サイドが仕切りに「事業は今踊り場にさしかかっている」と言いはじめた。それは開発チームに対するプレッシャーであり、結果を出せない社員にはやめてもらうという遠回しの通告でもあった。

険悪な空気の中で開発チームの担当者はこう言ってその場の雰囲気をやわらげた。

「この状況を打開できなければ、
 我々は一生(  )つづけなければなりませんので」

 

答え:踊り
攻撃されたとき、相手の言葉を引用してかわす方法がある。
これは経営者がしきりに「事業は今踊り場にさしかかっている」と言って牽制したのに対して開発チームの担当者が「この状況を打開できなければ、我々は一生踊りつづけなければなりませんので」と切り返した例である。
相手の言ったことをうまくひねって使う、合気道的なコメントと言える。

 
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バカボンのパパがお月見を阻止するため、月に電話をしようとする。
電話案内に「月の番号を教えろ」と言うが、「わからない」と笑われる。
さらに食い下がると頭がおかしいのではないかと言われる。
バカボンパパはなんといって切り返したのだろう。

「なに、わしがおかしい?(   )!」

 

答え:ほめるな
バカボンのパパの答え方は完全にギャグだが、言われると笑ってしまう。「ほめるな!」というフレーズは日常会話に応用可能だろう。自分の立場が悪くなったとき、相手から何か言われて立場が追い込まれたとき、「ほめるな!」といって切り返せるような人なら、かなり周りから愛されるに違いない。

 
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泉重千代さんが長寿世界一となったときに、インタビュアーが「好みの女性は?」と質問した。
泉さんはこの問いに対してジョークで返した。
さて何と答えただろうか?

「(   )」

 

答え:年上の女
このコメントの面白いのは、長寿世界一という自分の立場をわきまえて、コメントを意識している点である。素直に自分の好みのタイプを言うのではなく、なぜ自分はコメントを求められているのかを自覚した上で発言している。
さすがに大人である。

 
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ライフスタイルが表れるスナフキンのコメント

スナフキンのコメントには物を所有することにこだわらない自分のライフスタイルが表れている。所有することより、精神の自由を優先させる明確なライフスタイルに基づいて言葉が発せられるのだ。

ムーミンんとスナフキンが別れるときのコメントがかっこいい。

 

「それで、長いことかえってこないの?」

「いや」

と、スナフキンは答えました。

「春のいちばんはじめの日には、ここへかえってっきて、
またきみの窓の下で、口笛をふくよ。
一年なんか、たちまちすぎるさ」

「そうだね。じゃあ、ごきげんよう」

「じゃあ、また」

 
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ジャニーズのタレントがデビュー当時、自分たちの踊りや曲のことで意見が対立し、仲間同士殴り合わんばかりのケンカになってしまったそうだ。

そこへ、ジャニーズ事務所の社長であるジャニー喜多川さんがやってきた。
一触即発の彼らを見て、ジャニーさんはなんと言ったか。
そのコメントが秀逸である。

 

「Youたち、仕事のことでケンカするの、カッコいいね」

 

それを聞いて、さすがに殴り合いのケンカをするわけにはいかない。
すっとその場がおさまったという。

ここで「ケンカをするな!」というのが普通の「コメント力」だが、ジャニーさんは当たり前のコメントはしなかった。
いがみあっている現象の良し悪しをコメントするのではなく、ケンカをしている現象の奥にある、仕事に対するこだわりやプライドを見て「カッコいいね」とほめたのである。

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*企画は身体性。良質な企画は世の中を変える。
*良きインプットが良きアウトプットを作る。

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