東野圭吾の「カッコウの卵は誰のもの」を読みました。
久しぶりにミステリー小説を手にしました。
ネタバレにならないように、あくまでも本編の中で言い回しが気に入ったところを書き出してみました。
以下、僕の中で「引っかかり」のあったコトバのメモを読んで興味がわいた人は、手に取って読んでくださいね。
熱い口調で語る柚木の言葉を聞きながら、伸吾は選挙前に候補者たちがやる街頭演説を思い出していた。あたかも相手のためを思ってしゃべっているようだが、じつのところ自分たちの利益のために相手を説得しようとしているにすぎない。
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柚木は頭を振り、缶コーヒーの残りを口に含んだ。コーヒーはすっかり冷めていて、曖昧な甘さだけが口に残った。
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相手がいう番号を、緋田はカウンターにあったメモ帳に書き込んだ。その番号は、自分でも読みにくいほどに震えていた。
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自分の才能を気に入ってない・・・か。
才能とは何だろうと風美は思った。それがあるために苦しむというようなことは、これまで考えたことがなかった。だが振り返ってみれば、逆のことならば、いくらでも知っているのだ。
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もし上条がこのまま死ねば。
風美の出生の秘密は隠しつづけられるかもしれない。だがそう考えた直後に、緋田は厳しく首を横に振った。そんな邪悪な考えを持ってはならない。自分たちの罪を隠蔽できるからといって、罪のない人間の死を望むなど、以ての外だ。しかもその人物は、自分たちの罪の被害者なのだ。
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電話を受けた時から、緋田は覚悟を決めていた。柚木が当て推量を口にしたとは思えなかった。何が余程決定的な根拠を掴んだに違いない。もっとも、どこにそんなものが転がっていたのか、緋田には想像もつかなかった。こちらが全く成果の上がらない日を送っているのに、やはりこの男はただ物ではないなと思った。
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「才能の遺伝ってのはさ、いわばカッコウの卵みたいなもんだと思う。本人の知らないうちに、こっそりと潜まされているわけだ。伸吾が人より体力があるのは、俺があいつの血にそういうカッコウの卵を置いたからなんだよ。それを本人がありがたがるかどうかはわからない」
面白い考え方だと思い、柚木は頷いた。「それで?」
「でもさ、そのカッコウの卵は俺のものじゃない。伸吾のものだ。伸吾だけのものだ。ほかの誰のものでもない。柚木さん、あんたのものでもない」
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*企画は身体性。良質な企画は世の中を変える。
*良きインプットが良きアウトプットを作る。
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