Book LOG | 真保裕一の「繋がれた明日」

 

真保祐一の「繋がれた明日」

 


真保裕一の「繋がれた明日」
を読みました。

 

終始、暗かった。。。
とにかく希望がない。

過去に青木崇高が主役の中道隆太を演じて、ドラマ化されていたのですね。

 

以下、僕の中で「引っかかり」のあったコトバのメモを読んで興味がわいた人は、手に取って読んでくださいね。

 

 

どうせ長くたって五、六年。まだまだやり直しはきく。強がって、仲間と笑いながら、自分だけはもう絶対にへまはするもんか、と誰もが高をくくっている。そのくせ帰りたくて、たとえ帰ったところで持てあまされるだけなのに、早く塀の外の空気を吸いたくてたまらないでいる。
何が住めば都なものか。

 
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「ああ、早くこっから出て女を抱きてえよなあ」
一人が本音をもらした。それを機に、塀の外に残してきた恋人自慢がまたはじまった。もう聞きあきた話だ。なのに、誰もが同じ話をくり返す。壊れたCDプレーヤーのように。取り戻せない過去を、今ここで再生したがるかのように。そしていつも最後は、お決まりのジョークで締めくくられる。
「誰がおまえなんかを待っているもんか。もっとましな男を見つけてるに決まってるだろ」

 
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「座りなさい」
隆太は元気よく「はい」と答えてパイプ椅子に座った。まるで長旅から戻った飼い主の前に出た子犬のようなはしゃぎっぷりだ、と醒めた目で見る、もう一人の自分がいた。

 
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母から預かってきた印鑑を押し、契約は終了した。
二本の鍵を渡された。自分の明日を開く鍵のように思えた。
隆太は二本の鍵の重さを何度も掌で確かめた。

 
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「人は感情を高ぶらせると、視野が狭くなる。車のスピードを上げてくと、近くが見えにくくなるのと同じ理屈だ。感情のアクセルを踏みすぎると、知らないうちに焦って心のスピードってやつが勝手に上がっちまう。見ろ」

 
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「すいません。大室さんという保護司さんでしょうか…」
「わたしが大室です。ついたった今、ヤブウチさんは一人で帰ってしまい…」
大室が男の前へ小走りに近づいた。隆太は冷たい手で心臓を掴まれたような衝撃を受けた。

 
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おい、待てよ。そういう言い方するなよ。ひそめた浩志の声が耳に届いた。背中がぎくしゃくと動き、彼は縄暖廉の奥へと歩き出した。後ろから見られていることを意識しつつ、声の届かない場所へ動こうとしていた。困ったような友の背中が、ゆかりの返事を見事なまでに映していた。

 

 

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*企画は身体性。良質な企画は世の中を変える。
*良きインプットが良きアウトプットを作る。

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