宮部みゆきの「名もなき毒」
この500頁弱の長編を読んでいる間、正直ちょっと気分がブルーになった。一読者として、自分の感情を作者に完全に振り回されてしまったと言える。
無差別殺人を犯した犯人に感情移入し、逆に感情のコントロールできない原田いずみと言う生まれもっての「毒」に恐怖を覚える。それはシックハウス症候群とイジメと言う「毒」の関係に繋がっていく。（読んだ人でないと分からない文章で失礼！）僕にとって、なぜイマイチ腑に落ちなかったのかはまだ分からない。もしかしたら単純にこのタイミングで読みたい話ではなかったのかもしれない。または、ここまで僕の感情を振り回した作者に悔しい念を抱いているのだけなのかもしれない。この解釈には時間がかかりそうである。でも、自分の解釈に時間がかかる作品こそ、良い作品なのかもしれないとも思う。
コメント