奥田英朗の「GIRL」

奥田英朗の「GIRL」を読む。

「ヒロくん」「マンション」「ガール」「ワーキング・マザー」「ひと回り」の6つのストーリーから構成された短編集。

奥田英朗の作品の中でも、「イン・ザ・プール」「サウスバウンド」「ララピポ」なんかは特に好きな作風なので、これを期待して「GIRL」を手にしたら、あらビックリ!!完全に女子の視点で短編の全てが描かれてる。こんなガーリーな視点が男に描けること自体が驚きです。

かつて、博報堂生活者インサイト研究会と題して、湯山玲子さんの現代の女性のインサイトをマーケティング視点で捉えた書籍、「女装する女」の制作をお手伝いしたことを思い出しました。

当時、女性のインサイトを紐解くことを目的に、湯山玲子さんと数々の女性にインタビューを繰り返しました。結果、これらを10のキーワードで括るかたちとなったのですが、男として女性の視点を理解することはとっても難しく感じたのを今でも思い出します。だからこそ、奥田英朗が本作品で徹底した女性視点で描くことの凄さを改めて感じたりする訳です。現代の「女性の弱さとそれ以上の強さ」を、たくみに表現している作品だと思います。

映画も公開されていたみたいですが、これの反応はどうだったのでしょう?気になるところです。キャスティングだけでもある程度の興行が見込めそうな印象。

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