村上春樹の「神の子どもたちはみな踊る」

村上春樹の「神の子どもたちはみな踊る」を再読する。

「UFOが釧路に降りる」「アイロンのある風景」「神の子どもたちはみな踊る」「タイランド」「かえるくん、東京を救う」「蜂蜜パイ」 の6つの短編を束ねた一冊。

「神の子どもたちはみな踊る」では、短編集でありながら、それぞれの(別の短編の)主人公が皆1995年の阪神大震災と関わりを持つことで、「阪神大震災」というキーワードが一冊を通して(これまた間接的に)描かれています。村上春樹の短編集としては、異質な構成の一冊。

村上春樹の「夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです」のインタビューの中で、作者は長編と短編を描く時のスタンスの違いについて答えています。これを読むと、本作品はますます「異質」な感情の中で生まれた作品であることが読み取れます。「ある種の圧倒的な暴力」とは割り切れない、「突然井戸に落ちる」ようなモノなのかもしれません。− 小説で描いてきたテーマ性と自身の想像力をも凌駕する現実との対峙。それでもコレを自分のスタイルで表現しないといけない表現者としての宿命的、なのかもしれません。(ただの個人的な感想ですが・・・)いずれにせよ、村上春樹の数々の作品を数周して戻ってきて再読しても、まだまだ魅了される作品であることは間違いないです。

余談ですが、この中での短編「神の子どもたちはみな踊る」を原作とした映画が、2008年にアメリカ合衆国で製作され、日本では2010年10月30日に公開されていたのですね。映画館で見たかった〜。映画のタイトルが、”All God’s Children Can Dance”という形で ”Can” が含まれていることにセンスを感じます。ビデオで見てみよっと。

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