BookLOG 273|池澤夏樹の「終わりと始まり2.0」

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池澤夏樹の「終わりと始まり2.0」

 

2018年のベストセラーから今年の15発目! 16/52
池澤夏樹の「終わりと始まり2.0」 を読みました。

大好きな池澤夏樹さんの新書。書店に平積みされていたので、タイトルに惹かれ手に取りました。
池澤さんは、様々なジャンルで書かれていますが、個人的には、池澤さんの小説が大好きです。南の国や海系を題材にしているものになぜか心が揺さぶられます。
その中でも、「カイマナヒラの家」「南の島のティオ」は、自分の中でバイブル級に好きです。
あとは、ベクトルが全然違う方向を向いている著書、『憲法なんて知らないよ というキミのための「日本の憲法」』なんかも、当時とても興味深く読みました。

しかし、今回の一冊は、正直、イマイチだったかなーと。m(_ _)m
書かれている内容に対してなにか云々というつもりは毛頭もないのです。本としての情報の鮮度の問題で、情報が微妙感じで古いだけに、どうしても読んでいて前向きになれませんでした。(2013年4月から2017年12月まで、毎月の気になる内容を1つピックアップしてエッセーとして、朝日新聞に連載してきた内容を、今回、改めてこの一冊にまとめあげたそうです)

その意図を知らずに手にした自分に非があるのですが、正直、本の趣旨、構成として、ある種のユルさを感じざるを得ませんでした。。
急激な時代の流れの中で、整理できない感情が混沌としているときだからこそ、これを独自の視点まとめ上げるエッセイに価値があるのだと思います。時間が経つにつれ、やはりそこにある新鮮味はかけてきてしまうわけであって、なんだか、当時勇気をもって感情をあらわにしたものを、時が過ぎてだいぶ時間が過ぎてから、その感情を掘り起こしても、感動がない、というのが正直な意見でした。(逆に後出しじゃんけん的に見えてしまう懸念も)

とは言え、もちろん、今回も多くの学びがありましたので、以下、僕の中で「引っかかり」のあったコトバのメモを読んで興味がわいた人は、手に取って読んでくださいね。

 

 

選挙を前にした各党の政策は言わば定食のようなもので、有権者は料理の一つ一つを選ぶことはできない。
この前の選挙で自民党はともかく主食がたっぷりというメニューを用意した。みんなのおなかが空いていたらしく、この経済優先の政策は票を集めた(タニタの社員食堂に比べるとずいぶんメタボっぽい)。

ーーー

「我が国は、先の大戦による廃墟や幾多の大災害を乗り越えて発展し、今や国際社会において重要な地位を占めており、平和主義の下、諸外国との友好関係を増進し、世界の平和と繁栄に貢献する。」
自民党の「日本国憲法」の「前文」の一部である。

これ、文章としておかしくない?
「…重要な地位を占めており」までは現状分析だが、その後の部分、「…に貢献するのところは意思の表明である。この二つを一つのセンテンスに押し込めるというのは、高校生程度の日本語作文能力がある者ならばしない過ちだ。

ーーー

イラクに派遣された自衛隊は一人も死なず、一人も殺さず戻った。憲法第九条が彼らを守った。
それでも帰還隊員のうちの25名が自殺したという報道がある。

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過激とユーモアの不足

「不服従」すなわち市民のレジスタンスである。世界中いたるところで人々は権力に反抗している。選挙だけが意思表示ではない。国民はもっと過激な手段を使ってもいいのだ。

ーーー

「古事記」の完成が712年、「万葉集」は759年から後と言われる。この間はほぼ半世紀、つまり人間の寿命に収まる長さだ。運がよければ、「古事記」を手にした少年は老いて「万葉集」を繙くことができたはず。

 

 

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*企画は身体性。良質な企画は世の中を変える。
*良きインプットが良きアウトプットを作る。

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