田口ランディ「アンテナ」

田口ランディの「アンテナ 」(幻冬舎文庫)を読む。前作の「コンセント」が女性的シャーマニズムであれば、「アンテナ」は男性的なそれだ。内面の問題→無意識の中での繋がり→気付き→解放。表現は全く異なるものの、実は宮部みゆき「おそろし 三島屋変調百物語事始」にも共通する構成だったりする。全く異なるのは、この田口ランディのトリップした表現力。

ちなみに、これの前作として位置づけられる田口ランディの「コンセント」 (幻冬舎文庫)も率直に面白かった。自分が過去に体を壊した時に歩んだ道と少々重なるところがあり、共感と言うか共鳴する感があった。何か自分に大きな変化が訪れる時(例えば死に匹敵する事態に直面した時)自分の前にはナビゲーター役の人間が数人突如登場する。そして人は、藁にもすがる思いで、このナビゲーター達を通じて、これが意味することを紐解こうと試みる。これが生きると言うことを模索する為のファーストステップとなって、これを継続することで「繋がり方」にアジャストしていく。(これはあくまでも自分の過去の経験。そんな流れだったなーと思い出した)

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